整骨院・接骨院の方へ
交通事故の被害者請求に関して、整骨院・接骨院側で注意すべき法的ポイントを整理します。
重要なお知らせ
整骨院による被害者請求は行政書士法違反になる可能性があります。交通事故に遭った直後は、治療・仕事・保険対応などが一気に重なり、被害者にとって大きな負担となります。そのため実務の現場では、整骨院が患者に代わって自賠責保険の被害者請求をサポートしているケースを見かけることがあります。しかし、その内容によっては、行政書士法の業務制限に抵触する可能性がある行為となるため、注意が必要です。
被害者請求とはどのような手続か
被害者請求とは、交通事故の被害者が、加害者側の自賠責保険会社に対して、直接、保険金の支払いを請求する制度です。この手続では、主に次のような書類を整えて提出します。
- 自賠責保険金請求書
- 事故状況説明書
- 診断書・施術証明書
- 休業損害証明書 など
これらは単なる事務書類ではなく、被害者の権利行使に直結する書類であり、内容次第で支払額や支払可否に影響します。
なぜ整骨院が行うと問題になるのか
行政書士法では、他人の依頼を受け、報酬を得て、業として、官公署に提出する書類や、権利義務に関する書類を作成することを、原則として行政書士の業務としています。交通事故の被害者請求に関する書類は、保険金請求という権利義務に直接関わる書類に該当します。
そのため、整骨院が次のような行為を行っている場合には、患者の依頼を受けて被害者請求書類一式を作成し内容を判断・補正しこれを反復継続して行っている実態としては、行政書士法上の「書類作成業務」に該当する可能性があります。
「無料だから大丈夫」ではありません
よくある誤解として、「無料でやっているから問題ない」「患者サービスの一環だから大丈夫」という認識があります。しかし、行政書士法上は、名目が無料であっても施術費やサービス料に含まれているなど実質的に対価性が認められる場合には、「報酬を得ている」と評価される可能性があります。また、善意かどうか、患者のためかどうかは、違法性判断の決定打にはなりません。重要なのは、業として反復継続して行っているかどうかです。
「提出」や「交渉」との違いにも注意が必要
ここで整理しておきたいのは、問題の中心は 「書類の作成」 にあるという点です。書類作成 → 行政書士法の問題、保険会社との交渉・代理 → 弁護士法の問題、と、論点は分かれます。整骨院が、被害者請求書の内容を組み立てる、損害内容を判断する、患者に代わって請求を進めるといった行為に踏み込むと、資格のない法律事務に該当するリスクが高まります。
整骨院ができること・できないこと
整骨院ができること
- 施術そのもの
- 施術証明書・施術明細の作成
- 患者本人への一般的な説明
整骨院が慎重になるべきこと
- 被害者請求書類の作成
- 請求内容の判断・整理
- 患者に代わっての請求対応
この線を越えてしまうと、整骨院側にもリスクが生じます。
正しい役割分担が、患者も整骨院も守る
交通事故対応は、治療・施術は医療機関・整骨院、被害者請求などの法的書類は専門家、という役割分担が最も安全です。行政書士が関与することで、適法な範囲で正確な書類作成ができ、後からトラブルになるリスクを減らすことができます。結果として、患者・整骨院・保険会社のいずれにとっても、安心できる形になります。
まとめ
整骨院が患者に代わって被害者請求を行う行為は、その内容や実態によっては、行政書士法に抵触する可能性があります。知らずに行ってしまうことで、整骨院側が法的リスクを負う、患者側の請求が不安定になるといった事態も起こり得ます。交通事故の被害者請求は、適法に対応できる専門家に任せることが、最も確実で安全な選択です。
※本ページは一般的なご案内です。法的判断は個別の状況により異なりますので、専門家にご相談ください。